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2008年8月21日 (木)

火薬の授業

8月19,20日は2年1組の勉強合宿。昨年は液体窒素で遊んだ。今年は問題演習をみっちりやろうと思っていたら「なにか実験をやってー!」「他の教科はぜんぶすわって朝から晩まで問題を解いているので、せめて化学は変わったことをして欲しい。爆発の実験がいい」とかいう。そこでご要望にお応えして、爆発の授業をすることにした。(黒色火薬、ニトログリセリンをやろうか。爆発で、スカッとしたいのだろうけれど、それではいけないので、酸化還元の延長に位置づけてみるか。実験室のないところで、苦しいな)などと考え、何冊か本を入手して作戦をたてた。

そもそも火薬、爆弾といったものは

①還元剤と酸化剤を組み合わせたもの。例えば黒色火薬は還元剤の硫黄や炭素(燃焼するもの)と酸化剤の硝酸カリウム(熱分解して酸素を発生)を混ぜて点火するものだし、メタノール鉄砲は還元剤のメタノール蒸気と酸化剤の空気を混ぜて点火することで爆発が起きる。ニトログリセリンや綿火薬(トリニトロセルロース)は分子の中に還元剤のCやHと、酸化剤のNOを組み合わせたもの。

②いずれも燃焼により気体を発生し、その気体の膨張、拡散で衝撃波が発生する。

ものである。

ということがみえるような組み立てにしたい。

そこで水素と酸素の混合気体のシャボン玉に点火して爆発させる実験から、この場合の酸化剤と還元剤の確認をし、火薬、爆弾の原理、仕組みを説明。黒色火薬について酸化剤、還元剤の確認。実際に黒色火薬を調合点火。分子内に酸化剤、還元剤をもつ爆薬のニトログリセリンについて、OH基を持つ還元剤と酸化剤の硝酸、両者をくっつける接着剤としての濃硫酸が必要なことを考察。応用として綿火薬、TNT等を説明。実際にニトログリセリンを調合、点火。平和な線香花火と恐ろしい劣化ウラン弾。科学とはなにかというお話でまとめと進めてみた。幸い天気もよかったので、後半は屋外の噴水前でやった。実験機材をもって屋外へ移動すると「なんか楽しい」という声。ゆったりとした日差しの中、私もそんな気分になった。

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