米村でんじろうさんと教師の仕事
授業で、少々派手な実験をやると「先生、でんじろうみたい!」という声がかかる。「でんじろうとは知り合いだよ」と答えると、「えー!ほんとー?今度サインもらってきてー!」などと言われる。「私のじゃダメ?」というと「だめ!!」とか言われてしまうが、<おもしろ実験>というと「米村でんじろう」さんの名前があがる。彼が都立高校の教員で、私たちと一緒に科学の祭典等をやっていた頃(その頃、彼と一応面識はある)は、石川の教員向けの講演等にも気軽に(というか安い値段で)来てもらえたが、売れっ子になった今はそうはいかなくなってしまった。<サイエンスをもっと庶民にみじかな、楽しんでもらえるものにしたい>という思いから、彼は物理教員をやめて、新しい世界に飛び込んだわけだが、生徒達の反応からも伺えるように、当初の思いを充分達成する仕事をしていると思う。ところが、彼の仕事はマスコミを通じたものなので、少々おかしな内容があったりすると、手厳しい批判にさらされる。私たちのメーリングリストでもそういう批判を目にすることが、しばしばある。常に新しいものを開拓し続け、庶民を飽きさせず、興味を引き続けることは大変で、彼も苦しんでいるらしいが、頑張って欲しいと思う。ところで生徒達には「先生、でんじろうと勝負したら勝てる?」とかもいわれるが「彼と私たち教師は仕事が違うんだよ」とか答えてごまかして?いる。これはある程度本音で、彼の仕事はいわば<一発芸で勝負>の世界であり、私たちの仕事は(もちろん興味を引く実験もたくさん取り入れるが)いったん担任したら1年間、長い場合は3年間でなにを伝えるか<トータルで勝負>の世界だと思う。酸塩基、酸化還元、蒸気圧等といったひとつひとつの単元は、「へー!そうなの。」と思えるすばらしい世界であり、それぞれが有機的につながっている。それぞれに<知れば見通しがよくなる基礎概念>があり、基礎にはそこから最先端につながる発展がある。そして、それを理解するのには当然、一定の時間がかかる。それが我々の仕事で、けっこう楽しくやりがいのあることなのだ。<トータルで勝負>といったが、実際は一時間、一時間の積み重ねである。このBLOG等を足場に積み上げていきたいと思っている。
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