「人間は自然をどうとらえてきたか」林淳一 自然科学・教育論
科教協大会に参加したおり、三石初雄さんから表題の本を頂いた。今日の午後初めてゆっくりこの本を手にすることができたのだが、こういうときは、<はじめに>とか<編集後記>等から読み始めるのが私の常である。林淳一さんは、科教協の元委員長で、アルケミストの会のメンバーでもあった大先輩だが、親しくお話しさせて頂く機会はなかった。さて<第3部 林淳一さんという人>という項には、普段から多くを学ばせて頂いている方々が名を連ねられているが、その中に石井進さんが一文を書いておられた。石井さんは、私がまだ学生の頃、科教協関東ブロック水上大会に参加させて頂いた折りに、そこで金属の学習を紹介しておられた、古くからの実践家である。Naの面白さはこの時、石井さんから教わり、強烈な印象となって今に続いている。また雑誌「理科教室」に書かれた「金を王水に溶かした色はいかにも金を溶かしたという色だ。・・・・それに亜鉛を入れ、きらりと光る金の粒が出てきたときは嬉しかった。」などという文も、私を金の実験に駆り立ててくれた名文で、たくさんのことを今でも学ばせて頂いている。さてこの石井さんということで、文章を懐かしく?読み進めていくうちに、私の名前がでてきて驚いた。少々転記して紹介させて頂く。
自然をゆたかにとらえるとは 石井進
1)ものを教えることだよ!
私が法政のサークルにでかけていったのは1966年のことで、そこで初めて林先生と出会ったのでした。いつもレポート一枚持って行くことで大変素晴らしいことが学べて本当に毎回毎回目が開かれていくのを感じたものでした。二年ほどたって光の学習についてのレポートを検討して頂いたときに、では授業を見せてもらいましょうということになったのです。・・・・中略・・・。次のサークルのとき色々意見がでましたが、呟くように林先生は「光でものを教えることだよ」と言ったのでした。「これはどういうことなんだよ」と自問自答したがよくわからない、さてどうしたことかと悩んだのでした。ものとは物質界のすべてのことだ!気体、液体、固体、金属、非金属、塩、生物、有機物、ものの姿、ものの種類すべてを光で調べることか、ということになったわけです。・・・これは面白いぞーと早速取りかかることにしました。・・・・中略・・・。授業の様子を語り出したらきりがないのでこのくらいに致しますが、周期表に多くの金属や非金属の標本を並べて得た認識は幅広く、また深いものになったのは、林先生とともに語り合ったサークルの成果だと思います。・・・・中略・・・。このようなことに注目してくれた先生がいました。石川の高校の先生(四ヶ浦氏)は周期表に並べる金属標本をさらに充実して、その後も様々な実験や多様な物質界の面白さを紹介して、現在も活躍しております。・・・・・。
先にも書いたとおり、石井先生からたくさんのことを学ばせて頂き、今の自分の授業があり、実践がある。それを認めて励まして頂いたようで、とてもとても嬉しくなり、ここに書いている。いまのすべてはこの延長上にあり、しっかりと受け渡して行きたい。この本もじっくりと読ませて頂きたいと思う。石井さん、そして三石さん、ありがとうございました。
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