鉄の延性への二酸化マンガンの効果
今日、午前中は明日の富山での講演の準備に取り組んだ。昨日の刺激的な一日の余韻からかハイテンションでの作業となった。12時からは金沢工大での<砂鉄からナイフ>組の試料分析となった。部員4人と共に、金沢工大八束穂キャンパスへ向かった。K先生に分析をお願いすることになったが、その結果は思いがけないものであった。二酸化マンガンを砂鉄に添加することにより、Tiが多い砂鉄からでも延性を示す鉄になるのだが、我々は、その原因を、8割方Mnが鉄に靱性(ねばり強さ)を与えるからではないかと考えていた。後の2割はMnが鉄を固くするTi等を抜き取るからというのがあった。結果は、2割の方が正解だった。二酸化マンガンを添加した砂鉄から取り出された延性を示す鉄にはMnもTiのAlも含まれていなかったのである。またTiO2の添加で鉄中にTiが取り込まれ鉄が固くなるのではないかという昨年度の実験も今回の分析で、その考察が間違いであることがわかった。TiO2をいくら添加してもTiは鉄中には取り込まれていなかったのである。都合10サンプル程の分析をお願いしたが、一つ一つの結果に心が揺さぶられ続けた。うまくいかないのが当たり前で予想外の結果がでたらしめたと思え!とはいってもなかなかそうはいかない。しかし、こうだからこそ研究は面白いのである。ものすごく勉強になった一日であった。金沢工大のSEM、EDXも素晴らしいものであったが、分析に便宜をはかって頂き、実際に貴重な時間を割いて頂いた金沢工大、K先生とS先生、本当にありがとうございました。今後ともよろしくご指導下さい。昨日今日の結果から、明日の講演は当初予定した内容から少々違ったものになる。現在進行形。それで良いと思う。
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