2種類のラップを見分ける授業
食品包装ラップの材質は、実は2種類しかない。ひとつはポリ塩化ビニリデンラップでサランラップやクレラップがこれ。もうひとつがポリエチレンラップである。この二つのラップを箱ごと生徒に渡し、私は後ろをむく。そして「どちらのラップか見分けるから、少し切って渡して」という。生徒から渡された方を引きちぎってみて、伸びるようならポリエチレン。パシッと切れるようならポリ塩化ビニリデンである。これは班ごとにもやってもらう。もうひとつ見分ける方法は、熱した銅線に少し付けて炎の中に入れてみて、銅の炎色反応が見れる方が、塩素を含むポリ塩化ビニリデンである。この方法は最強の発がん物質ダイオキシンが発生する可能性があるので、あまり大量にはやらないほうがいいことを伝える。ごみ処理の際にラップごみを分別しないのは、ごみ焼却場は高温で燃やすため、ダイオキシンが発生しにくいことも伝える。次に、ポリエチレンを分解すると、原料のエチレンガスが発生することを演示実験で見せる。ガラス管付きのゴム栓をした試験管にポリエチレンを入れてガスバーナーで加熱すると、ガラス管の先から、燃焼ガスが出てくる。これに火を付けると、「おー!」という歓声があがって気持ちがいい。同じことをポリ塩化ビニリデンでやる、とHClと炭素に分かれてしまう。試験管に黒いすすが残り、リトマス液やメチルオレンジが赤色になることで確かめる。ラップ2種類で楽しくプラスチックの勉強ができるので、結構気に入っている。授業の終わりに、代表者一名を指名して、「このラップがどちらか見分けてごらん」というと、うれしそうに「引きちぎってみる。銅線に付けて燃やしてみる」と答えてくれ、実際にやってみせてくれる。見事正解し、「この時、発生する可能性のある危険物質は?」と聞くと「ダイオキシン!」と、とてもうれしそうに答えてくれ、こちらもうれしくなる。私のお気に入りの授業のひとつである。
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