いったいどっちなんだ?
銀の錆び取りには、錆びた銀を食塩水の中でアルミとくっつけるといいです。ところがもっと凄いのがマグネシウム。くっつけてみてびっくり!。すごい速さで錆が取れます。イオン化傾向はマグネシウム>アルミニウムなので、この差を劇的に実感できる実験になります。これにうれしくなって<アルミニウム>亜鉛だから、亜鉛の方が錆び取効果は小さいだろう>と思って試してみると、これが違うのです。亜鉛の箔を錆びた銀に押し付けるとアルミよりはるかに速い速度で錆が取れるのです。おそらくアルミには酸化被膜ができているためでしょう。これはこれで面白いです。ここまでは、何回か紹介したように思います。
さて(身近に亜鉛がないかな?)ということで考え付いたのが、広島の住吉さんが昨年の夏紹介しておられた亜鉛のポットです。住吉さんはこれをダニエル電池のケースに利用されていました。あれがいいと思って、試してみると思惑通り、銀の錆がすーっと取れて、うれしくなりました。このポットは100均の店に売られているということで、それなら安価で手軽です。昨年末の名古屋の実験講座で、このポットでの錆び取りを加えることにしました。ところがこのポットが見つからなかったのです。残念に思い、代用できそうなものを探して、見つかったのが写真のバケツです。このバケツ、皆さんはなんと呼びますか?ブリキのバケツと言いませんか?ブリキなら鉄に錫メッキしたものです。錫はイオン化傾向は亜鉛よりずっと小さいので、ブリキで錆をとることはできません。ところがバケツ裏面の表示を見て考え込んでしまいました。
TIN POT 持ち手付きブリキポットとあります。TINとは錫のことです。更に下の方に材質表示があり、そこには材質/トタン。MATERIAL/ZINCとなっています。トタンは鉄に亜鉛メッキしたもので、ZINCとは亜鉛のことです。これはいったいどっちなのでしょう。
これは試してみるしかありません。銀を錆びさせ、食塩を振りかけて、このバケツを押し付け見ると、見る見るうちに、錆が取れました。これは亜鉛。つまりトタンのバケツというのが正解です。ブリキのバケツがいつの頃からかトタンに変わり、呼称だけが残ったのかなぁ?表示の混乱といい、実験結果といい、イオン化傾向などのとても面白い教材になりますので、皆さんお試しください。
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