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2017年2月27日 (月)

宮沢賢治の実験講座

今回の「宮沢賢治の実験講座」で紹介した物語(詩)は<真空溶媒>と<アンネリダ・タンツェーリン><双子の星><インドラの網>そして<銀河鉄道の夜>です。実験は、炎色反応、ガラスと水晶、水晶の音と光、融銅の輝き、スペクトル、銀と白金、白金触媒、金とニセ金。竜巻・・。それらをみて頂きながら、お話を進めていきました。真空溶媒の挿絵(細川理衣さん画)は、届いたばかりのアクリルパネルに入れて並べたのですが、装具がしっかりしていると作品が生きるという感想を頂きました。木越あいさんのガラス器も、人形劇のように手に取ってお話を進めました。イメージが浮かぶといって頂けてうれしかったです。次は3月12日の兵庫加古川のファラデーラボ、27日の東京のナリカでの講座になります。内容の精選(指導要領みたい・・)と、より効果的な展開が課題です。頑張って準備していきますが、皆さんのご意見をお待ちしています。

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2017年2月26日 (日)

野村さんの退職を祝う会

昨日、今日と、泊まりがけで研究仲間の野村さんの退職を祝う会でした。野村さん、貝田さん、私の3人で講座を担当したのですが、たくさんの方に参加して頂けてうれしかったです。誰かの講座をじっくり体験するというのは、勉強になります。なにより楽しかったです。宮沢賢治の実験は面白いけど、賢治は難しい!という声がたくさん聞かれました。課題満載!「実験で楽しむ宮沢賢治・サイエンスファンタジーの世界」への旅も、まだ始まったばかりなのです。

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2017年2月24日 (金)

石の街小松で金属の不思議を探る・ニセ金、その2

誰もが欲しがる金だけに、ニセ物を作る方法も色々あるようです。その素材の一つがチタン。黒埼海岸のものに限らずほとんどの砂鉄にも含まれますが、強烈に酸素と結びついていて、取り出すことが難しい金属です。その反対に一旦取り出されたチタンは激しく酸素と結びつこうとします。チタンの薄箔が燃える様子を撮影してみましたが、火を付けなくても空気中にフレッシュな面が出ただけで燃えるそうです。ではこのチタン箔がなぜそのままで燃えないのかというと、薄く酸素と結びついた膜が内部を保護しているのです。アルミ箔でもこれと同じことが起きています、この厚さの違いでチタンの色が変わるのが面白いです。膜の厚さは電気分解の電圧で変えることが出来、台所でも簡単に実験ができます。金色にするには、重曹水などの中で、チタンを百均にも売っている9V乾電池の+につなげばよいのです。こうやって作られたニセ金指輪なども出回っていて、要注意!写真は私がだまされて2こも買ってしまったもの。<Love forever>の文字が刻まれている時点で気づくべきだったなぁ・・(笑)。

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2017年2月23日 (木)

【石の街小松で金属の不思議を探る・ニセ金、その1】

孔雀石から銅を取り出し、錫を混ぜて青銅にすることを紹介したところ「錬金術だー!」と、うれしいコメントを頂きました。それなら金色の真ちゅうも作ってみようかな?と、二つ目の写真の様に、銅に亜鉛を混ぜて、加熱して、叩いて、磨いてみました。真ちゅうは銅と亜鉛の合金なのです。最初の写真がそれで、未反応の銅の部分、銀色の亜鉛の部分、金色の真ちゅうの部分が混在していて、中々きれいです。作った感想ですが、この二つは、青銅の銅と錫のように簡単には混ざってくれません。バーナーでかなり強熱しなければならず、亜鉛が気化するのか、ガスも身体に悪そうで、別の方法のほうがよさそうです。小松の尾小屋鉱山では、銅の鉱石である黄銅鉱や,フールズゴールド(愚か者の金)の異名もある黄鉄鉱も産出されたようで、私たちが子どものころ近所を走っていた尾小屋鉄道の軌道には、鉱石のかけらがたくさん落ちていました。それを探すのはとても楽しく、夢中になった記憶があります。写真は、高校の同期生の北村宏くんから頂いた黄鉄鉱。水晶も一緒についていて、このふたつがどんな関係にあるのかにも興味をそそられます。これからの講座でも活躍してくれそう。北村くんありがとう!

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2017年2月22日 (水)

石の街小松で金属の不思議を探る・マンガン

加賀市黒埼海岸は、浜が黒くなる位、砂鉄の採れるところです。一方、黒滝と名が付いている滝が全国各地にあります。ところが、これも鉄かというと鉄ではなくてマンガンなのです。北海道のオンネトー湯の滝が有名で、微生物のつくる二酸化マンガンの滝として天然記念物にも指定されています。現地にいってみると<世界でもここだけ!>という標記があったりしますが、そんなことはありません。金沢高校科学部の牧畠君の研究(2011)に詳しいですが、マンガンバクテリアが黒い堆積物、二酸化マンガンを作っているところは全国各地にあるのです。羽黒山の黒滝、乗鞍3本滝の内の一本もそうです。ちなみにこの3本滝はそれぞれ酸化鉄で赤、酸化ケイ素で白、酸化マンガンで黒とカラフルに着色されているのが面白いです。ただし現地にその記載はありません。基本的には水質が違う為ですが、それぞれバクテリアが大きく関係しています。酸化マンガンが出来ているところですが、石川県でいうと、北陵高校近くの池や深谷温泉などもそう。オキシドールをかけてみるとシュワシュワと泡を出すのですぐに分かります。京都丹後周辺にも小さなマンガン鉱山がたくさんあり、採掘されたマンガンは高品質で,鉄に靱性(粘り強さ)を加える為、戦前はドイツなどにもたくさん輸出されていたようです。二酸化マンガンで黒くなっているところに備長炭を沈めておくと、二酸化マンガンが付着します。これで備長炭電池をつくると面白いですよ。写真は、乗鞍三本滝の黒滝、深谷温泉石屋旅館湯口、北陵高校近くの池で採取した黒石にオキシドールをかけた様子です。【石の街小松で金属の不思議を探る】は長くて読みづらいとご意見を頂きましたが、テキストの下書きですのでご容赦を!

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『春と修羅』序文のイメージ画

わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
(あらゆる透明な幽霊の複合体)
風景やみんなといつしよに...
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の 
ひとつの青い照明です・・・・
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
     みんなのおのおののなかのすべてですから)

最初はさっぱり理解できなかった宮沢賢治の詩集『春と修羅』の序文ですが、ようやく少しイメージできるようになり、細川理衣さんに絵を描いて頂きました。賢治の作品に親しむうちに、この序文は『春と修羅』だけでなく、彼の作品すべてに通じるように感じられてきました。この絵には賢治の作品の登場人物達がスポットに浮かび上がっています。彼女曰く「透明な幽霊のイメージ」。素敵に序文がイメージできますが、いかがでしょうか?「宮沢賢治・サイエンスファンタジーの世界」3版に加える予定です。仕上がりがとても楽しみです。

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2017年2月17日 (金)

青銅鏡を作ってみました

孔雀石から青銅鏡を作ってみました。まず孔雀石から銅を取り出し、融かした錫にその銅を混ぜました。錫は低融点(232℃)なので、バーナーの炎でペシャペシャッという感じで,すぐに融けます。そこに銅を溶かし込んでいくのですが、水銀のようにゆらぎ、輝きながら青銅になっていく様子は感動モノです。とろとろに融けた青銅を流しにあけると、面白い形に固まります。それをダイヤモンド砥石と耐水ペーパーで磨きました。超ミニながら、なかなかきれいな青銅鏡が出来て、うれしかったです。「孔雀石から青銅鏡を作る」は楽しい講座になりそうだな。

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2017年2月12日 (日)

水晶を摩擦で中から光らせる

水晶の中の火のイメージにこだわっています。当の賢治は何を見ていたのか?

カムパネルラは、そのきれいな砂を一つまみ、掌にひろげ、指できしきしさせながら、夢のようにいっているのでした。
  「この砂はみんな水晶だ。中で小さな火が燃えている」

...

のこと。
(水晶さざれはきれいだけれど、多分賢治はそんなものは見ていない。きしきしなるのは石英分の多い鳴き砂だけれど、鳴き砂から水晶分だけ分離できないかな?)そんなことを考えていました。ところがそんな砂があることに思い当たりました。それはケイ砂です。そこで職場の実験室でケイ砂を乳鉢に入れて、こすってみました。これは鳴りました。さらにLEDを入れて見ました。とてもきれいに光りました。でも賢治の頃にLEDなどないなぁ。と思っていたら友人の小林眞理子さんから頂いていた「賢治も石英の摩擦発光をみていたのでしょうか?」というコメントを思い出しました。圧電は1880年にキュリー兄弟が公開したということですから、賢治も知っていたかもしれません。賢治が愛読していた片山正夫の「化学本論」に圧電発光の記載があるか気にかかります。とにかく手持ちの水晶をこすり合わせて、この発光を試して見たら、ものの見事に発光!!おぼろな光がとてもきれい。大きな水晶が怪しげに光ります。これ賢治も見てたかなぁ?ケイ砂がきしきし鳴っているときも発光してるのかな?きりがありませんね(笑)。
で、職場へ行って、ケイ砂をペットボトルを切ったものにいれて乳棒でキシキシやってみたのですが、暗室でやっても発光を確認できませんでした。どうしたらいいか、これから考えます。県立図書館で片山正夫の化学本論他に当たってみましたが、圧電発光の記載は見つけられませんでした。賢治がこの現象を知っていて「水晶の火」のイメージにしていたかどうかは、不明のままです。

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2017年2月11日 (土)

石の街 小松で 金属の不思議を探る

予定で恐縮ですが、5月から第一日曜の午後1時間半の予定でサイエンスヒルズこまつを会場に【石の街 小松で 金属の不思議を探る】という講座を始めます。対象は小学校5年生以上と大人です。ゆくゆくは皆さんと研究をやっていきたいです。当面3回。第一回は『金・銀・銅』小松は尾小屋や遊泉寺といった銅山での銅採掘や金採掘が行われていた街です。そこでの砂金探し、銅の鉱石から銅を取り出し、その銅で遊ぶ。砂金から銀を分離して銀で遊ぶ等々をやります。第2回は鉄とチタン。実は小松周辺にはたくさんの製鉄遺跡があったのです。始まりは7世紀頃で11世紀には一旦終わります。木の伐採が原因です。製鉄に使われたのは黒崎海岸の砂鉄。講座では砂鉄から鉄を取りだし、その鉄でナイフをつくります。この砂鉄にはチタンが多く含まれるのですが、このチタンのアートとサイエンスも面白いです。第3回はマグネシウムとカルシウム。このふたつはどちらもギラギラの金属です。そしてこれが溶けた水(温泉水)にはお豆腐を固めたり溶かしたりする働きがあるのです。海水豆腐もその一つですが、片山津温泉では、温泉水で固める源泉豆腐が名物になっています。マグネシウムとカルシウムのサイエンスもとても面白いです。ちなみに小松の石文化?は昨年、日本遺産に登録されました。金属は石から取り出すのです。貼付したのは小松の製鉄遺跡の地図(林製鉄遺跡 小松市教育委員会発行より)と砂鉄の採れる加賀市黒埼海岸。遺跡は本当にたくさんあったのです。びっくりですし、この製鉄、再現したいです。会場費を含めて千円くらいの有料講座ですが、定員もありますので、興味のある方はサイエンスヒルズこまつにお申し込み下さい。詳細はまた後日。これからそのテキスト作成を始めますが、こんなことをやって欲しい等、いろいろご意見を頂けるとうれしいです。

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