ヤドリギやーい!
この頃、ずっとヤドリギを探しています。賢治の童話「水仙月の四日」では、雪婆(ゆきばんご)に命じられて吹雪を操る雪童子(ゆきわらす)がヤドリギを見つけ、手下の雪狼(ゆきおいの)に「とっといで」と命じます。ヤドリギは人が簡単には採れないような高い木の上についているのです。雪狼がガチガチかんで落としたヤドリギの枝。雪童子はそれを子供に投げてよこします。子供はそれをビックリして拾い、大事そうに持って歩くのですが、雪童子が起こす吹雪に巻き込まれてしまいます。雪婆は「おや、おかしな子がいるね。こっちへとっておしまい。水仙月の四日だもの、一人や二人とったっていいんだよ」と雪童子に命じるのですが、雪童子はそれに従えません。「あの子供は、ぼくのやったヤドリギを持っていた。雪童子はつぶやいて、ちょっと泣くようにしました」。自分があげたものを大事にしてくれている子供の命を奪えないのです。賢治はたくさんの作品にヤドリギを描いています。ヤドリギは球形に集まっているのですが、その一つ一つはトンボの形をしているそうです。しっかり幹についていて飛べないトンボ。童話「若い木霊」ではヤドリギがこんな風に描かれています。
「栗の木があちこちかがやくやどり木のまりをつけて立っていました。そのまりはとんぼのはねのような小さな黄色の葉から出来ていました。その葉はみんな遠くの青いそらに飛んで行きたそうでした。」
自由に空へ飛び立ちたいけどできない人達の悲しく熱い想いをヤドリギに込めているように感じられます。飛べないトンボの集まりであるヤドリギのマリ。西洋ではクリスマスに玄関に飾り、「ヤドリギの下で友が出会うと幸せになり、敵が出会うと戦いをやめる」という言い伝えがあるそうです。なんとか手にしたいのですが、なかなか見つかりません。近くにないかなぁ
。みなさん、見かけられたら教えてくださいね。


昨年の秋、ウィーンからブタペストへ向かう列車の窓から見えた沢山のヤドリギです。さすがに、ここまで取りに行くわけにはいきません
。

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